研究課題/領域番号 |
16500207
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
陸 暁峰 順天堂大学, 医学部, 助手 (20360703)
|
研究分担者 |
北澤 茂 順天堂大学, 医学部, 教授 (00251231)
高田 昌彦 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00236233)
|
キーワード | サル / 狂犬病ウイルス / 越シナプス性ラベル / 一次運動野 / 補足眼野 / 神経機構 / 上肢運動 / 眼球運動 |
研究概要 |
われわれが日常的に実行する動作様式の大部分は、眼球と上肢の協調運動で構成されている。しかし、これまで眼球と上肢を協調的に作用させる複雑な運動の発現と制御に関わる神経機構を詳細に調べた研究はほとんどない。本研究では、眼球運動に関連する領域(前頭眼野と補足眼野)や上肢運動に関連する領域(一次運動野)に狂犬病ウイルスを局所注入し、ニューロンの逆行性かつ越シナプス性ラベルを利用して、眼球と上肢の協調運動に関与する皮質内神経回路を選択的に可視化することを目的とした。本年度は、具体的に以下の研究計画を実施した。まず、サルに脳定位固定装置及びチャンバーを取り付ける手術を行い、刺激電極を中心溝前壁に挿入し、皮質内微小刺激によって引き起こされる運動を指標にして一次運動野の上肢領域を同定した。次に、同領域に狂犬病ウイルスを注入し、注入後の生存期間を変化させて、前頭葉皮質におけるニューロンラベルの分布を解析した。その結果、注入後2日の生存期間では、一次ニューロンのラベルが運動前野や補足運動野にみとめられ、3日の生存期間では、二次ニューロンのラベルが前頭眼野や補足眼野に相当する領域にみとめられた。現在、前頭眼野と補足眼野を同定するために、サルにアイコイルを取り付ける手術を行い、刺激電極を弓状溝前壁及び内側壁に挿入し、皮質内微小刺激により惹起される眼球運動を指標にして前頭眼野と補足眼野を同定している。今後は、このようなサルで、上記と同様にして一次運動野の上肢領域に狂犬病ウイルスを注入し、2次ニューロンのラベルが電気生理学的に同定された眼球運動関連領野にみとめられることを確認するとともに、前頭眼野や補足眼野に狂犬病ウイルスを注入し、一次運動野において越シナプス性にラベルされるニューロンの分布を解析し、眼球運動関連領野と上肢運動関連領野の相互関係を神経連絡の面から明らかにする予定である。
|