研究概要 |
我々は今年度、アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)のモデル動物である2っのtransgenic(Tg)mice、1)脳にアミロイドβ蛋白(amyloid protein:Aβ)沈着を認めるTg2576mice(APPsw mice)と2)変異tau R406Wを有するtauを過剰発現するTg mice(Tau R406W mice)において、痴呆の成り立ち、痴呆関連細胞・分子の変化とミクログリアの変化を実験的に検討した。Tau R406Wmiceでは、F4/80陽性のミクログリアが、大脳皮質、扁桃体、海馬において、non-TGと比較して有意に増加していることが示された(Am J Pathol 166:521,2005)。ミクログリアの増加(microgliosis)は、tauの著明な蓄積やastrocytosisと相関することが示され、扁桃体では、ミクログリアの増加とともに高度の神経細胞減少が認められた。一方、Tg2576 miceの検討では、マウスの記憶学習障害が、Aβ dimerがlipid raftに蓄積する6ヶ月で起こること(J Neurosci 24:3801,2004)、さらにマウスの長期記憶障害は、7.75ヵ月から始まること(Neurobiol Aging 25:483,2004)が示された。これらの研究により、Tg2576 miceでは、6および7.75ヵ月に注意してミクログリアを検討する必要性が明らかとなった。 パーキンソン病(Parkinson's disease:PD)のモデル動物として期待されているα-synuclein変異Tg(α-synTG)におけるミクログリア活性化の検討も行なった。その結果、α-synの沈着早期においてはミクログリアの活性化は認められないことが示唆された。
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