研究課題
基盤研究(C)
3年前に発見された、insulin super familyに属するINSL7/relaxin-3(以下INSL7と略す)と呼ばれる新規ペプチドLについて、平成16年度から2年間脳内発現を中心に精力的に機能形態学的な解析を行った。1年目はINSL7ニューロンの局在検索をおこない、INSL7に対する特異抗体を用いて、免疫細胞化学およびin situ hybridization法を行って詳細なINSL7タンパク質および遺伝子の分布を調べた。その結果、INSL7は神経細胞に発現し、細胞体は橋の背側正中部、第4脳室に接するNucleus Incertus (NI)と呼ばれる神経核に大部分が発現していることが明らかとなった。また、そのINSL7陽性神経細胞はNIより上行性た中隔野、海馬、外側視床下部など、大脳辺縁系を中心とした領域に投射していた。さらにINSL7の細胞内局在検索では、免疫電子顕微鏡によりINSL7は細胞質に存在するが、粗面小胞体やGolgi装置の付近に多くみとめられ、軸索終末においては前ジナプス終末のdense-cored vesicleにINSL7陽性反応産物が観察された。このような所見をまとめると、INSL7は脳においては、神経細胞体で産生され、軸索輸送されて、紳経終末からシナプス間隙へ放出される、つまり神経伝達物質として機能していることが、強く示唆された。2年期ではINSL7の機能解析としてストレス系への関与について検索を行った。NIのINSL7陽性ニューロンには脳内ストレス反応物質であるCorticotropin releasing factor (CRF) type1受容体が発現しており、拘束ストレス時にINSL7ニューロンに最初期遺伝子であるc-Fosが発現し、さらにINS1遺伝子の発現自体ち増強することを明らかにした。この結果から、INSL7は脳内ストレス制御に関与するペプチドであることが強く示唆された。また発育期における発現は胎生期後半18日より遺伝子発現がNIに相当する部分に現れることを示した。これらの成果は平成17年度のEuropean Journal Neuroscienceに発表された。また、同様の研究手法を応用して、後根神経節における疼痛研究の成果を論文発表した。
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