アミロイド前駆体蛋白質(APP)C末端断片(CTF)集積ラフトの神経細胞内局在と細胞内小胞輸送経路を明らかにし、CTF-γセクレターゼ相互作用の細胞内部位、膜ラフトにおける調節機構を知ることを目的に研究を行った。 1.オルガネラマーカー抗体とAPP抗体による免疫沈降を用いたAPPまたはCTF集積膜ラフトのオルガネラ別精製とその構成蛋白質の解析 マウス脳組織から後期ゴルジ体とエンドソームを細胞分画法・オルガネラマーカー蛋白質抗体を用いた免疫沈降法により単離した。さらに、低温下の界面活性剤処理により膜ラフトを調製した。APPの異なる部位に対する抗体を用いた免疫沈降により全長APPまたはCTFが集積するラフトを単離することを試みた。現在、それぞれの構成蛋白質を比較解析中である。 2.軸索輸送顆粒・オルガネラ中の膜ラフトの解析 ラット馬尾を出発材料として神経軸索輸送中のオルガネラ・顆粒を調製し、APP輸送顆粒を免疫沈降により単離することを試みたが、再現性よく輸送顆粒を単離することができなかった。現在、異なる抗体を用いて検討中である。 3.膜ラフトにCTFとともに集積する蛋白質のAPP細胞内輸送とβアミロイド産生への関与の検討 神経系株化細胞においてCTFとともにラフトに局在する細胞内小胞輸送関連蛋白質のドミナントネガティブ変異体を発現させて機能阻害を行った。その結果、βアミロイド産生の変化を引き起こす変異体を見出した。現在、その変異体が膜ラフトへのAPP集積、細胞内輸送に与える影響を解析中である。
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