研究課題
基盤研究(C)
アミロイド(Aβ)は、凝集により神経毒性を得る。Aβに由来する多様な凝集体の中で、10-15nmの新たな球状Aβ凝集体「アミロスフェロイド」だけに、非常に強い神経毒性が存在することを新たに見出した。本研究では、アミロスフェロイド形成機構と神経細胞死の解明から、アルツハイマー病発症の謎に迫ろうとしている。本研究により、初代培養並びに動物モデルを用いて、アミロスフェロイドの投与に伴い神経細胞内のカルシウム濃度が徐々に亢進し、その結果、カルパインの活性化が起きることを見出した。カルパイン活性化の阻害は神経細胞死を抑制することから、カルパイン活性化はアミロスフェロイドの毒性発現に重要な役割を果たしていることを見出した(菊池・柳澤・星ほか、投稿準備中)。さらに、トレハロースによってAβ凝集経路が影響を受け、アミロスフェロイド形成が抑制することを見出した(工業出願1件)。最近、我々はアミロスフェロイド特異的抗体の作製に成功し、ヒト脳での探索から類似構造体が存在している可能性を見出した(野口・松村・星ほか、投稿準備中)。海外のアルツハイマー病研究者からも我々の研究を指示する結果が得られている。従って、アミロスフェロイド形成のメカニズムを明らかにすることが今後、発症の開始を解明する糸口となることが改めて示された。そこで、様々な溶媒条件でのAβ凝集を解析した結果、発症の分岐点と考える「Aβモノマーが線維になるか、アミロスフェロイドになるか」を制御する原理を試験管内で見出し、脳でのAβ凝集の制御に関する新たな仮説を示した(野口・星ほか、未発表データ)。以上、本研究によりアミロスフェロイドの神経細胞死機構の一端について解明が出来た。
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繊維と工業 62・1
ページ: 17-18
Fiber and industry 62-1
Cryobiology and Cryotechnology 51・
ページ: 137-140
Cryobiology and Cryotechnology 51