研究課題
受容体型膜蛋白質SHPS-1はその細胞内領域がチロシンリン酸化を受け、チロシンホスファターゼSHP-2と結合して下流へとシグナルを伝える。SHPS-1は神経系で特に強く発現しており、神経系におけるチロシンリン酸化シグナルの制御に重要な役割を果たすと考えられる。SHPS-1はその細胞外領域のリガンドである膜蛋白質CD47と細胞間相互作用シグナルシステムを形成するが、本研究では、SHPS-1とCD47の神経細胞における局在を詳細に解析し、SHPS-1がCD47に比べて神経細胞の軸索に強く局在することを定量的に示した。このことから、CD47とSHPS-1は神経軸策と樹状突起間で、方向性を持った細胞間シグナルとして機能している可能性が示唆された。さらに、両分子の相互作用について培養神経細胞を用いた解析をすすめ、CD47の過剰発現およびSHPS-1との相互作用により、実際の神経細胞において神経突起形成やフィロポディア形成が誘導されることを見出した。またCD47とSHPS-1を過剰発現させた神経細胞同士の相互作用部位では両者が強く集積し、神経突起が肥大する現象が認められた。本研究の結果より、実際の神経細胞においてSHPS-1とCD47の相互作用が、神経の形態変化を制御することで、神経回路網の形成を制御する可能性が想定された。今後、これら分子による細胞間相互作用シグナル及び細胞内チロシンリン酸化シグナルと神経機能制御との関連について解析を進める予定である。
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