研究課題/領域番号 |
16500238
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
阿部 輝雄 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50010103)
|
研究分担者 |
黒海 坦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (30009633)
|
キーワード | SNAREs / 神経伝達物質放出 / ショウジョウバエ / シナーフィン / コンプレキシン / シナプス小脳 |
研究概要 |
SNAREタンパク質及びシナーフィン/コンプレキシン、nSec1/Munc18-1、snapなどのサイトゾルタンパク質は神経終末において神経伝達物質放出に密接に関与することがわかっているが、放出に伴うこれらのタンパク質の挙動についての知見はきわめて乏しい。ショウジョウバエ3齢幼虫の神経筋接合部の神経終末はサイズがきわめて大きく、神経終末内の分子を蛍光で観察することが可能な、きわめて有用な系である。本研究ではこの系を用いて、シナプス小胞の開口放出に伴う上記タンパク質の動態を追究している。高K^+処理による神経終末の脱分極で神経伝達物質放出を惹起し、それに伴う上記タンパク質の動態を標本を固定後、各タンパク質に特異的な抗体を用いて免疫蛍光によって局在を決定した。SNAREタンパク質のシンタキシン及びSNAP-25はシナプス前膜に主としてそんざいし、その局在は変化しなかった。また、nSec1/Munc18-1及びsnapは細胞質全体に存在しており、その局在も変化がなかった。しかし。シナーフィンの局在は神経伝達物質放出に伴って明確に変化した。すなわち、静止状態では細胞膜の内縁近くに存在するが、放出に伴って細包質全体に広がって存在した。脱分極を停止するとゆっくりと元の局在に復帰した。高K^+処理ではシナプス小胞の開口放出に続いてシナプス小胞のエンドサイトーシスも起こっており、シナーフィンの局在変化がどちらの由来するのか定かではない。この点を解明するため、エンドサイトーシスがある温度以上では抑制されるシビレ突然変異体を用いて実験し、エンドサイトーシスが完全に抑制されてもシナーフィンの局在変化は野性型と全く同様に観察された。したがってシナーフィン局の変化はシナプス小胞の開口放出に伴う現象であることがわかった。現在、この局在変化の分子機構を追究している。
|