研究概要 |
SNAREタンパク質及びシナーフィン/コンプレキシン、nSec1/Munc18-1, snapなどサイトゾルタンパク質は神経終末における神経伝達物質放出に密接に関与することがわかっているが、放出に伴うこれらのタンパク質の挙動については不明な点が多い。ショウジョウバエ3齢幼虫の神経筋接合部の神経終末はサイズがきわめて大きく、神経終末内の分子を蛍光で観察することが可能である。本研究ではこの系を用いて、シナプス小胞開口放出に伴う上記タンパク質の動態を追求した。高K^+処理による神経終末の脱分極で神経伝達物質放出を惹起し、それに伴う上記タンパク質の動態を標本の固定後、各タンパク質に特異的な抗体を用いた免疫蛍光により観察した。平成16年度の研究によってSNAREタンパク質シンタキシン及びSNAP-25は主としてシナプス前膜に存在し、その局在は変化しないこと、nSec1/Munc18-1及びsnapは細胞質全体に存在しており、その局在も変化しないこと、シナーフィンの局在は神経伝達物質放出に伴って明確に変化する(静止状態では細胞膜の内縁近くに存在するが、放出に伴って細胞質全体に広がり、脱分極を停止するとゆっくりと元の局在に復帰する)こと等を示した。平成17年度の研究によって、シナーフィンの局在変化がカゼインキナーゼII(CKII)の特異的阻害剤存在下で完全に制御されることが明らかになった。しかし、A-キナーゼやC-キナーゼの阻害剤は無効であった。したがって神経伝達物質放出に伴うシナーフィンの局在変化にはCKIIによるタンパク質リン酸化が関係していると考えられる。
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