研究課題
本研究は、遺伝子操作が可能なマウスを用いて、学習過程における前頭前野機能の分子機構を明らかにする事を目的とした。この目的のために、脳内遺伝子導入法を用いてマウス前頭前野特異的な遺伝子操作を確立し、特にNMDA型グルタミン酸受容体(GluR)の分子的機能阻害効果が、学習の獲得、保持、想起、ならびに消去過程に与える影響を行動学的に解析するものであった。本研究ではまず前頭前野特異的に発現する遺伝子の取得を目的とし、suppressive subtractive hybridization法により、前頭前野特異的あるいは、前頭前野優位に発現する遺伝子の検索を行いin situ hybridization法により発現確認を行った。その結果、ドパミン受容体D4R遺伝子が前頭前野に比較的選択性高く発現をすることを確認した。そこで、バクテリア人工染色体(BAC)ベクターにマウスD4Rゲノム遺伝子を含む大腸菌クローンをバイオリソースより入手し、大腸菌内での相同遺伝子組み換え法を改良、確立することにより、D4R遺伝子の蛋白開始コドンにNMDA型GluRのドミナントネガティブ変異体であるGluRζ1(N/R)サブユニットと蛍光蛋白EGFPを融合した遺伝子、あるいは遺伝子組換え酵素CrePRを挿入した遺伝子発現ベクターを構築した。これらのBACを用い脳内エレクトロポレーション法により、前頭前野細胞に対する遺伝子導入の条件検討を行ったが、効率よくBAC遺伝子を導入し発現を行うことが困難であった。そこで、これらのBAC遺伝子をもとにトランスジェニックマウスを作製するための、ベクター構築を行い、ES細胞を用いた遺伝子操作マウスの作製を進めている。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
神経研究の進歩(総説) 50
ページ: 18-24
Neuroscience 135
ページ: 1017-1023
Epilepsia 46
ページ: 152-158
J.Neurosci. 25
ページ: 2146-2156
生化学(総説) 77
ページ: 619-629