研究概要 |
NEPP11は神経成長因子の神経突起伸張作用を増強するシクロペンテノン型プロスタグランディン(Satoh, T., Furuta, K., et al., Neurotrophic actions of novel compounds designed from cyclopentenone prostaglandins. J. Neurochem. 77, 50-62 (2001))で、我々はNEPP11がマンガン誘導性アポトーシスを阻害することを報告した(Hirata Y., Furuta K., et al. Anti-apoptotic and pro-apoptotic effect of NEPP11 on manganese-induced apoptosis and JNK pathway activation in PC12 cells. Brain Res. 1021/2, 243-249 (2004))。しかし、NEPP11は高濃度ではアポトーシスを誘導する細胞毒性を持っていたため、分子修飾によりアポトーシス抑制作用が強く、細胞毒性が弱い化合物を得る目的で、微量の多検体を一度に処理できる化合物のスクリーニング法を確立した。即ち、96穴マイクロプレート用ルミノメーターを購入し、ドーパミン神経毒のロテノンおよびマンガンにより活性化されるカスパーゼ3/7活性を測定することにより、様々に分子修飾したNEPP11誘導体のカスパーゼ3/7活性に及ぼす影響について調べた。その結果、NEPP11よりもアポトーシス抑制作用が強く、細胞毒性が弱い化合物が少なくとも5個得られた。これらの化合物はシクロペンテノン環のS-フェニル誘導体であった。今後これらの化合物をさらに改良することにより"新規のドーパミン神経保護物質を創製する"ことが期待できる。また、ロテノンにより誘導されるアポトーシスにCADというリボヌクレアーゼが関与することをsiRNAを用いて示した。
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