本研究は、我々が見出した神経細胞死抑制活性を持つ新規の遺伝子であるalivin1の個体レベルでの機能を解析し、alivin1が認知症を治療や予防するための創薬ターゲットとなりうる可能性を探ることを目的とする。 本研究では個体レベルでのalivin1の機能を解析するために以下のプロジェクトを行っている。 1.Alivin1蛋白質を過剰発現するトランスジェニックマウスの作製とその表現型の解析 2.alivin1遺伝子ノックアウトマウスの作製とその表現型の解析 3.特異抗体の作製と、それを用いたAlivinファミリーの局在の解析 4.Alivin1蛋白質と相互作用する分子の探索と、その機能の解析 本年度は上記項目2について研究が進展した。 前年度までにalivin1ノックアウトのためのターゲティングベクターを作製し、ES細胞(TT2株)に導入した。正しく標的変異を導入したクローンを3ライン得た。そのうちの1ラインよりキメラマウス(キメラ率約90%)を得たが、このラインのノックアウトアリルは生殖系列に伝播しなかったため、ノックアウトマウスは作製できなかった。 本年度は胚凝集法を用いてキメラマウスを作製し、3ラインのES細胞より、合計11匹のキメラマウスを得た。そのうちの1ラインのキメラマウスのalivian1ノックアウトアリルが生殖系列に伝播し、ヘテロ接合体およびホモ接合体を得ることに成功した。現在、背景遺伝子を均一化するためのコンジェニック系統の作製とalivin1ノックアウトマウスの表現型の解析を行っている。
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