これまでに、Densin-180のPDZドメインの近傍が、CaMKIIによってリン酸化されることが報告されているが、今回私共は、このリン酸化部位に対する抗リン酸化抗体を作製した。この抗体は、ラット脳抽出物中の内在性のDensin-180のリン酸化を検出することはできなかったが、細胞に強制発現させたDensin-180が、イオノマイシン刺激でリン酸化されることを確認することができた。一方私共は、Densin-180と非常に高い相同性を有するERBINの細胞内局在を検討し、ERBINのleucine-rich repeatsドメインよりもさらにN末端の部分(1-32アミノ酸残基)を欠失させると、形質膜への局在が見られなくなり、この部分がERBINの形質膜への局在に重要である可能性を認めた。さらにいくつかのERBIN変異体を作製し、システイン14及びシステイン16がこの局在化に必須であることを見出した。また、Densin-180と相同性を有する線虫のLET-413の変異体では、trichohyalin及びplectinと相同性を有する蛋白質であるAJM-1の局在が変化することが報告されているが、私共は、細胞骨格蛋白質ケラチンと結合する蛋白質として、trichohyalin及びplectinと相同性を有する新規蛋白質を同定し、トリコプレイン(trichoplein)と命名した。トリコプレインは、Caco-2細胞及び小腸上皮において、apical cortical region(terminal web)のケラチンと共局在し、また、デスモソームにも存在していた。
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