研究課題
小脳の出力を担う小脳核の神経回路構築は小脳の機能に深く関わるはずだが、小脳皮質に比べて小脳核の入出力神経回路や機能区分についてはあまり明らかにされていない。小脳核は、小脳皮質からトポグラフィカルに投射を受けると考えられている。私のこれまでの小脳皮質におけるアルドラーゼC発現の縦縞状のパタンと下オリーブ小脳投射パタンに注目した研究により、小脳皮質の機能区分に関して従来の理解を革新的に変更する結果が得られて、J.Neurosci.Vol.24に発表した。ついで、その小脳皮質の機能区分に対応すると思われる小脳核の機能区分の構築を明らかにすることに取り組んだ。まず、ラットの小脳核の三次元模型をコンピューターソフトウエア上に構築した。そして、その模式の上に、抗アルドラーゼC抗体による染色パタンをマッピングして、小脳核におけるアルドラーゼC陽性・陰性の領域のパタンを三次元的に再構築した。更に、ビオチン化デキストランの下オリーブ核の各所への微量注入によって下オリーブ小脳投射軸索を標識し、その小脳核側枝の投射領域を小脳核模型の上に三次元的にマッピングして、下オリーブ小脳投射のトポグラフィーを系統的に細かく同定した。以上の結果を小脳皮質の機能区画と系統的に比較したところ、小脳皮質における5個のグループの機能区画構築の原則が小脳核の機能区分にも当てはまることを確認した。その5グループは小脳皮質では縞構造を作るのに対して、小脳核では各グループが並行した横方向のカラムを作っていることが分かり、今まで知られていない小脳核の機能構築の原則が明らかになった。この結果に関して現在投稿準備中である。
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