研究概要 |
1)マウス網膜凍結薄切切片標本を用いた免疫組織化学的検討 P2X1,P2X2,P2X4,P2X7サブタイプに対する抗体を用いた野生型マウス網膜の免疫染色から、コリン作動性アマクリン細胞にはP2X2型プリン受容体が存在していると考えられた。またP2X2型受容体は主にOFF型細胞に局在し、ON型細胞にはほとんど存在していなかった。またP2X2型受容体のコリン作動性アマクリン細胞における局在を確認するため、P2X2型プリン受容体抗体と抗choline acetyl transferase(ChAT)抗体との二重染色を行なったところ、両者の免疫反応が同一細胞にあることが確認された。 2)IMCT法を用いたtransgenic mouse網膜コリン作動性アマクリン細胞の選択的消去 京都大学医学部中西研究室の森島陽介先生との共同研究でimmunotoxinの眼球内注入を行い選択的なコリン作動性アマクリン細胞の消去を試みた。IMCT法を用いると他の網膜神経細胞を障害することなくコリン作動性アマクリン細胞を選択的に消去することができた。コリン作動性アマクリン細胞がIMCT法で消去された網膜標本ではP2X2型受容体抗体に対する免疫反応性が消失していたことから、P2X2型受容体はコリン作動性アマクリン細胞上に存在すると考えられた。 3)マウス網膜コリン作動性アマクリン細胞からのスライスパッチ記録 遺伝子改変マウス網膜を用いて薄切切片標本を作製し、蛍光顕微鏡下にGFP陽性のコリン作動性アマクリン細胞からの記録を試みた。薄切切片中のコリン作動性アマクリン細胞は樹状突起等が失われているため、長時間記録を行うことができていない。現在まだpreliminaryな記録のみであるが、免疫組織化学的手法で得られたデータと同じ傾向が観察されている。現在長時間記録が可能な標本作製の条件を検討中である。
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