研究概要 |
サルコリピンをマウスの心室筋に過剰発現させ,心室筋細束をサポニン処理してスキンド標本を作成し,筋小胞体のCa^<2+>取り込み,Ca^<2+>誘発性Ca^<2+>放出,Ca^<2+>リークを測定した.サポニン処理によって,Ca^<2+>制御関連蛋白が,未処理筋同様に保持されているかを確認するために,蛋白発現量をWestern immunoblotting法で測定した.マウス左室乳頭筋から抽出した全細胞タンパク抽出液中の筋小胞体Ca^<2+>制御タンパク(SERCA2a, RyR, calsequestrin, phospholamban (PLB) and SLN),細胞質タンパク(protein kinase Cα(PKCα)),収縮タンパク(troponin I (TnI) and α-actin)を対象として測定した。作成したサンプルは4,6,10そして20%sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gel electrophoresis (SDS-PAGE)にて電気泳動を行い,Western blotting法にてpolyvinylidence difluoride (PVDF)膜に転写した.PVDF膜を各抗体と免疫反応させ,バンドはECL-plus detection kitを用いてchemiluminescence法にて検出した.サポニン処理によってCa^<2+>制御関連蛋白は,サポニン未処理筋と同様に保持されていた.細胞質にあるPKC αは減少していた.他方,トリトン1%処理筋では,Ca^<2+>制御蛋白が喪失していた.これらの結果は,サポニン処理スキンド標本で調べた筋小胞体Ca^<2+>制御関連タンパクは生理的状態に保持されており,機能の評価には十分耐えうるものと考えられた.
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