研究概要 |
触覚情報処理については集積データを活動のタイミングに絞って解析し、並行する少なくともこ二つの処理経路が存在することを明らかにした。即ち、第一次体性感覚野(SI)の3b野から始まり中心後回を後方へ流れる経路(3b野-1野-2野-5野)と、SIから第二次体性感覚野(SII)へ向かう経路である。いずれの経路でも、ある興奮が次のステップへ伝えられる潜時は約4ミリ秒である。また刺激後概ね50ミリ秒以内の活動は金て類似した3相構造を示した。この結果は初期情報処理が皮質部位を問わず共通したメカニズムで行われることを示している。これらの結果は学術誌に報告したInui et al.Cereb Cortex 2004)。次いで聴覚についても同様の研究を行い、初期情報処理様式が触覚の場合と極めて類似することを見いだした。1)少なくとも二つの処理経路が存在する。一つは第一次聴覚野(PAC)から外側、さらに後方へ向かう流れであり(PAC-belt-pSTG-PPC)、いわゆるwhere parthwayに相当する。もう一つはPACから外側、前方へ向かう流れであり(PAC-belt-aSTG)、おそらくwhat pathwayに相当する。2)連続する活動の時間差は約4ミリ秒である。3)初期活動は全て3相構造を示す。これらの結果より、上記触覚情報処理にみられた基本処理様式がそのまま聴覚情報処理にもあてはまることが確認された。このことはこれらの様式が感覚系を問わず感覚情報処理に共通した処理様式であることを伺わせる。結果は学術誌に発表予定である(Inui K at al.Cereb Cortex, in press)。
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