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2005 年度 実績報告書

ずり応力による内皮細胞基底膜の安定化

研究課題

研究課題/領域番号 16500288
研究機関山梨大学

研究代表者

山根 徹  山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (60220430)

研究分担者 神谷 瞭  日本大学, 大学院・グローバル・ビジネス研究科, 教授 (50014072)
三俣 昌子  日本大学, 医学部, 教授 (40064589)
キーワード動脈硬化症 / ずり応力 / 血管内皮細胞 / 基底膜コラーゲン / マトリックスメタロプロテアーゼ / カベオラ
研究概要

日本人の粥状動脈硬化性病変が学童期から発症することを報告してきた。そのため、動脈硬化症の予防には粥状動脈硬化発生早期における対策が重要である。その初期病変の発生部位を観察すると大動脈に一様にできるのではなく、血流による物理的応力が発症要因に関与していることが考えられた。すなわち、血流により発生するずり応力の性状により内皮細胞機能が変化し、血管分岐部や蛇行する部分では内皮細胞の透過性が亢進し脂質沈着が生じ易く、動脈硬化に促進的に作用することが分かった。この部分には乱流性のずり応力が作用することが分かっている。また、動脈硬化に抵抗性の部分では、層流性のずり応力が作用し、内皮細胞は緻密な基底膜を有し、内皮細胞下組織にも線維化が見られた。この部分の内皮細胞には細胞骨格が発達し、tight junctionも発達し、透過性が制御されていることが理解された。そこで、実験的に層流性ずり応力を内皮細胞に負荷し、内皮細胞の基底膜代謝について検索し以下の結果を得た。
1)30dyn/cm^2までの層流性ずりを負荷すると、内皮細胞の基底蒔くコラーゲン産生が亢進し、mRNAレベルも増加した。
2)ずり応力を負荷すると、基底膜コラーゲンの分解酵素であるMMP2の分泌が抑制された。この抑制効果は、ずり応力負荷を解除するとすぐに回復した。
3)ずり応力負荷によるMMP2分泌抑制は、アルブミン添加により回復した。
4)MMP2は細胞内輸送のどの段階で輸送が障害されているか検索するため、GFPを付加したMMP2を内皮細胞に発現させ、その動態をレーザー顕微鏡で観察した。これにより、GFPの付加したMMP2はtransport Vessicleを形成し、細胞膜直下に集積していた。
5)Transport vessicleは、細胞膜のcaveola(lipid raft)にfusionし、Vessicleを放出することが知られている。Caveolaの形成阻害物質のfilipinは内皮細胞のMMP2分泌を部分的に抑制していた。
<まとめ>動脈硬化の発症には、内皮細胞の基底膜形成能が重要である。層流性ずり応力は内皮細胞の1)基底膜コラーゲンを産生させ、2)基底膜コラーゲン分解酵素のMMP2の分泌を抑制し、3)MMP2の分泌抑制はcaveola形成に関与していることが分かった。<考察>CaveolaはMMP2のexocytosis、アルブミンのendocytosisだけでなくその他の物質代謝にも関与する重要な装置であり、種々のずり応力下における物質代謝の変動が血管病変の形成のみならず薬剤代謝にも重要であることが類推された。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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