研究概要 |
市販のL-ラクチド(L-乳酸2分子が環状エステル化したもの)を再結晶プロセスにより精製し、高純度化したL-ラクチドを得た。これに、オクチル酸スズを触媒とし、L-ラクチドに含まれる痕跡量の水分を開始剤とし、バルク状態で開環重合を行うことによりPLLAを合成した。合成したPLLAの精製を行い、真空減圧下において充分に乾燥した後、塩化メチレンを溶媒とするキャスト法によりフィルム化した。フィルム形成後、真空減圧下において充分に乾燥し、融解(200℃)した後、結晶化し得るできるだけ高い温度(160℃)で結晶化することにより、厚みが20nm程度の結晶領域を含んだフィルムを得た。得られたフィルムをリン酸緩衝液中において97℃において40時間加水分解処理を行うことにより、PLLA残存結晶領域を得た。 得られたPLLA残存結晶領域のリン酸緩衝液(pH7.4)、アルカリ溶液(6Nおよび1N NaOH水溶液)、酸溶液(6Nおよび1N HCl水溶液)、およびPLLAの分解酵素であるproteinaseKを含んだ溶液中にて加水分解を行い、分解後、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC),示差走査熱量分析(DSC),重量測定により、その分解挙動を評価した。その結果、PLLAフィルムの加水分解中に結晶領域の成長が起こること、PLLA残存結晶領域の加水分解は、高pHおよび低pHにおいて、促進されるが、Proteinase Kによっては促進されないことが分かった。
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