心電図・脈波・発汗量など無拘束かつ簡便に測定可能な生体信号や簡単なゲームの成績から、自律神経活動バランス、ストレス/リラクゼーション度合いを推定し、現在のストレス状態を表現する、あるいは、ストレスを低減するための映像や音楽を提示するシステムを設計することを目的としている。 1)暗算作業、白色雑音暴露のストレス状態に引き続き映像、映像と音楽、および、音楽を視聴した際の心電図、脈波、皮膚電位水準、胃電図を測定し、ストレス及び映像、音楽によるリラクゼーション効果の評価に適した生体信号、および、指標抽出を行った。リラクゼーションの効果の評価については、その媒体が映像と音楽では異なる指標を利用する方が適切であることが示唆された。 2)タッチタイプ練習ソフトを利用して文字入力ゲームを行う被験者の拍動間隔時系列と脳波の測定実験を行った。作業量によるストレス度推定の可能性を示唆する結果が得られた。 3)心拍変動時系列の隣接する極値の差分、極値の個数などを利用し、短い時間窓による実時間性の高いストレス/リラクゼーション度合い推定法の提案と方法評価を行った。また、推定したストレス/リラクゼーション度合いに応じて表示画像を変動させるモニタリングシステムの試作を行った。 4)心拍変動時系列からリラクゼーション度合いを実時間連続的に推定する方法を提案し、これを箱庭の花の数や、キャラクターとのレースの結果で表現する3DCGソフトウェア、および、音楽聴取者の拍動間隔時系列の変動係数に応じて、音楽の音量が変動するシステムを試作した。 5)ストレス度合いの評価や、リラクゼーション手法における擬人化エージェントの利用のための基礎研究として、表情や種類の異なる擬人化エージェントから人が想起する感情をSD法により評価した。人を題材としたCGでは、リアルさを高めることにより不気味の谷が現れ、不快感が増す結果となった。
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