研究概要 |
本年度の本研究は,研究計画に従い以下の研究を行い成果を得た. モータ駆動型補助人工心臓の高性能化に関する研究では,流出ポート入口形状を拡大することでCFD解析では乱流エネルギーの最高値が6.6mm^2/sec^2から3.36mm^2/sec^2まで減少し,in vitro実験に於いてもCFD解析に解析に近い低拍動数駆動においてポンプ効率1〜2%の性能向上が達成された.また,拍動型補助人工心臓の小型化において最大の難点であるコンプライアンスチャンバについて,本ポンプで採用している血液ポンプとアクチュエータの磁気結合を応用した能動的血液吸引でアクチュエータ側空気の圧縮を圧縮することで流入側サッキングを防止しつつコンプライアンスチャンバなしでの駆動を可能とした. FPGAを用いた自律分散型駆動制御システムでは,昨年度に開発したCPUとFPGAからなるコントロールボードを用い,CPUからFPGAの機能の更新ならびに機能分散化の基礎研究としてモータ回転角度測定および回転速度測定機能の組み込みを行い自律的動作の確認を行った.メインCPUに従来のファジー制御を組み込むことで人工心臓の駆動が可能である. 人工心臓の自己診断機能では,人工心臓発生音に対し最適なマザー関数と次数を選択しウェーブレット変換することで工心臓モーター回転の切り出しならびにモータ回転速度の測定が行えることを実証した. 人工心臓駆動用エネルギー源に関しては,小型・高エネルギー密度を有し大電流放電が可能なリチウムポリマー電池が最も人工心臓駆動エネルギー源として適していること,ならびに電池容量の50%放電での使用を繰り返すことで電池寿命が極めて延びることを理論及び実験より実証した. 駆動制御系進化用経皮的情報伝送システムでは,通信距離1m程度の半二重通信にFPGAの経皮的更新を目的に独自の通信プロトコルを組み込み疑似全二重化した.in vitro実験の結果人工心臓発生電磁ノイズの影響を受けず19200bpsで双方向通信が可能であることを確認した.
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