研究課題
今年度の研究成果は、以下の通りである。(1)頸部電気ファントム内の栓子検出皮膚・脂肪・筋肉・血管から構成され、生体組織と等価な電気特性をもつ頸部血管電気ファントムを製作し、血管内の血栓子検出が可能かどうかを検討した。電極は、電流電極間隔70mm、電圧電極間隔10mmで電極(直径3.5mm)を皮膚表面上に直線上に配置した。血管内に牛全血を満たし、同じ血液から作成した栓子(立方体:5mm角)を血管内底部かつ電極中心線上に設置し、栓子によるインピーダンス変化を用いて測定した(印加電流1.0mAp-p、周波数100kHz、10回測定)。測定の結果、栓子の有無におけるインピーダンス変化率は0.12±0.16%であり、頸動脈内に設置された栓子が検出可能であることがわかった。(2)有限要素法を用いた高感度栓子検出が可能な電極配置の検討(1)と同じ構造・導電率をもつ三次元頸部血管メッシュモデルを構築し、直径5mmの電流印加電極と同心円状に環状電圧検出電極と環状ガード電極を配置した、リング電極配置について検討した。モデルは、200mm角の立方体を電極中心から1/4にカットしたものとした(要素数2044577、節点数443402)。頸動脈モデル内に、直径4mmの模擬栓子球を入れた際のインピーダンス変化率を求めた(深さ25mm)。解析の結果、外径50mm(幅2mm)の電圧検出電極と外径10mm(幅1mm)のガード電極を用いた場合、インピーダンス変化率0.63%と、最も高い検出感度が得られることがわかった。(3)高精度高速電気インピーダンス測定装置の開発これまでの研究によって、十分な栓子検出精度を得るためには、測定装置の雑音を熱雑音に近いレベルまで下げる必要があることがわかった。そこで、全論理回路のワンチップ化、量子化誤差の減少、多層表面実装基板化、スクリーンドライバ層の追加による低ノイズ化をはかった。次年度は、改良型測定装置の製作と性能評価を行う。
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Physiological Measurement April(In press)
6th Asian-Pacific Conference on Medical and Biological Engineering (in Tsukuba, Japan) April(発表予定)
6th Conference on Biomedical Applications of Electrical Impedance Tomography (in London, UK) June(発表予定)
Medical & Biological Engineering & Computing 42
ページ: 142-144
第41回日本エム・イー学会抄録・論文集 43
ページ: 502
第17回生体・生理工学シンポジウム論文集 19
ページ: 177-178