研究課題
可視光から近赤外程度の波長では、μm程度の細胞・細胞内構造の大きさの散乱体に対し、後方散乱はその光学特性のわずかな違いで大きくそのパターン(角度依存性)を変え、偏光方向による違いも大きく示すことが知られている。後方散乱測定では、前方散乱測定のように組織を切り出す必要がなく、測定対称に対する自由度が高い。それに加えて偏光による違いも敏感に示すため、後方散乱を波長を変えて分光的に計測することによりin vivoで細胞内外構造に関する様々な情報が得られると考えられる。本研究は、生体の前方散乱ではなく後方散乱に注目し、2次元イメージセンサを用いて偏光の強度を2次元平面画像として計測する。本年度は、昨年度購入した大型の受光面を有する2次元CMOSセンサと既存のHe-Neレーザーを用いた実験装置をセットアップした。試料へ微小ミラーを通して入射光を照射する。試料としてポリスチレン粒子を水に分散させたものを用いたが表面張力による試料表面の曲面により照射ビームの強力な正反射が不安定となるため、石英板を試料表面に設置した。その石英板にはフォトマスク技術によってクロム膜による開口(アイリス)のパターンを設けた。本システムの改良を行い、後方散乱光パターンの散乱角が30度程度まで撮影できるようになった。2005年の5月に開催された第44回日本エム・イー学会大会で後方散乱光パターンのシミュレーション結果と予備実験的な実験結果とを発表した。引き続き行ったシミュレーションと実験の結果を2005年の11月にチェコのプラハで行われた"European Medical and Biomedical Engineering Conference 2005"にて発表した。しかしながら、研究の進行に伴い、シミュレーションと実験結果に矛盾点のあるところを発見し、現在その解明に取り組んでいる。
すべて 2005
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日本エム・イー学会誌 生体医工学 第43巻特別号
ページ: 328
IFMBE Proceedings EMBEC'05 "3rd European Medical & Biological Engineering Conference, IFMBE European Conference on Biomedical Engineering" Vol.11(CD-ROM)