研究課題
基盤研究(C)
可視光から近赤外程度の波長は、μm程度の細胞・細胞内構造と大きさが近い。このため散乱はMie散乱となり光学特性のわずかな違いで大きくそのパターン(角度依存性)を変える。通常散乱の解析では前方散乱を利用する。しかし、前方散乱計測でMie散乱パターンを観測するためには単散乱に近づけるために組織を薄い切片に切り出す必要がある。臨床応用などを考えた場合、前方散乱計測では生体のin vivo測定は不可能であるが後方散乱計測では対象表面での後方散乱を捉えられれば、自由度の高い測定が可能である。さらに、後方散乱は偏光による違いも敏感に示すため、波長を変えて分光的に計測することによりin vivoで細胞内外構造に関する様々な情報が得られると考えられる。本研究は、生体の前方散乱ではなく後方散乱に注目し、2次元イメージセンサを用いて偏光の強度を2次元平面画像として計測する。われわれは散乱体中の光子の伝播と偏光特性について検討を行い、高濃度粒子分散系のMonte Carloシミュレーションプログラムを完成させた。本プログラムにより分散粒子と分散媒の光学特性、粒子濃度、および実験装置における開口を与えると実験に対応した2次元散乱パターンを描画できるようになった。2004年度に購入した大型の受光面を有する2次元CMOSセンサと既存のHe-Neレーザーを用いた実験装置をセットアップした。試料へ微小ミラーを通して入射光を照射する。試料としてポリスチレン粒子を水に分散させたものを用いたが表面張力による試料表面の曲面により照射ビームの強力な正反射が不安定となるため、石英板を試料表面に設置した。その石英板にはフォトマスク技術によってクロム膜による開口のパターンを設けた。本システムの改良を行い、後方散乱光パターンの散乱角が30度程度まで撮影できるようになった。これらの研究成果は第44回日本生体医工学会大会(2004)およびEuropean Medical and Biomedical Engineering Conference 2005(プラハ)にて発表した。しかしながら、研究の進行に伴い、シミュレーションと実験結果に矛盾点のあるところを発見し、現在その解明に取り組んでいる。
すべて 2006 2005 2004
すべて 雑誌論文 (10件)
日本生体医工学会誌生体医工学 第44特別号
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