研究概要 |
平成16年度は,MRI計測によるデータ収集を開始するとともに,必要な構造データを導出するための基本手法を構築した. まず,データ収集活動として,日本人被験者計5名のMRI計測を行った.姿勢変化時の骨格構造の各関節における挙動を明らかにするため,一人の被験者につき,手のひらを自然に開いた姿勢と,直径の異なる3種類の円筒を握る姿勢の,計4姿勢計測した.その際,姿勢変化に伴う皮膚変形情報を取得するため,球形のビタミン剤をマーカとして皮膚表面に貼付した. 関節構造の解明に関して,骨モデルマッチングによる骨格位置姿勢の半自動的同定のための基本手法を構築した.骨モデルは,MR画像から手作業で骨格領域を抽出し,作成した.また探索領域の性質が複雑で,位置姿勢の探索対象となる手骨が19個と多いことから,オペレータがインタラクティブにおおよその初期位置に置き,収束計算によって詳細位置を自動的計算することにした.初期位置の指定については,MRデータをボリュームレンダリングで表示した画面上で少数の特徴点を指定することで,インタラクティブに骨モデルの探索初期位置を設定するインタフェースを実装した.詳細位置は,サーフェスメッシュモデルに含まれるボクセル値の総和が最大化する姿勢を収束計算で求めることにした. 皮膚変形に関して,姿勢変化に伴う皮膚変形記述手法を考案した.皮膚は連続しているため,各マーカは近辺の複数の関節から姿勢変化の影響を受けることになる.そこで,各マーカが属する骨を決め,その骨に対する3次元相対位置変化として記述することにした.基本技術として,各骨に解剖学的に妥当で被験者同士の比較の可能な座標系の設定方法を提案した.最初の一人分については,慣性主軸とISBの定義により設定し,二人目以降については,Iterative Closest Point Methodを用いて座標系をコピーする手法を提案した.
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