研究概要 |
1.フッ素含有炭酸アパタイトの合成条件決定: 炭酸アパタイトにフッ化ナトリウムを混合して練和物とし、室温〜80度で湿式反応、または炭酸ガス雰囲気下600〜800℃で反応させ、フッ素含有炭酸アパタイト(CFA)を合成した。固液比、温度、焼成時雰囲気の最適化を行い、加えたフッ素とナトリウムがそれぞれPサイトとCaサイトに95%以上固溶するようにした。本研究では、遊離フッ素イオンがほとんど生じないCFA合成法を確立した。 2.フッ素含有炭酸アパタイトの大量合成: 上記(2)の合成条件を基にして、F含有量として1%及び2%の2種類のCFAPを大量合成した。 3.マグネシウム含有βTCP(MgTCP)の大量合成: 高純度炭酸カルシウム、リン酸、硝酸マグネシウムを出発物質としてMgTCPを大量に(300g以上)合成した。 4.Mg,Zn,F含有2相性リン酸カルシウム粉末の調整: 上記(2)(3)で合成したMgTCP、CFAを、厳密に定めた粉砕条件の下でそれぞれ粉砕し、ZnTCP粉末と均一混合した。この混合粉末は共同研究先へ送付された。 5.溶解度積測定の開始: 系統的にMgを変化させたMgTCP粉末をpH5.5の0.08M酢酸緩衝液に浸漬した。このpHはTCP/DCPD及びTCP/OCPのsingular pointのpHである。そのため、仮にDCPDやOCPに相転移したとしても溶液のCa、P濃度は変化しない。浸漬は空気中及び窒素ガス雰囲気中で行い、室温で3-12ヶ月放置する実験を行い、溶解度積を計算した。 6.Mg/Zn/F-BCPセラミックまたは固化体の作成条件の研究 Mg/Zn/F-BCPの焼結体または固化体ができれば、円盤状Mg/Zn/F-BCPを使用して細胞培養実験を行うことができる。さらに、顆粒状にできれば人工骨としても用途が広がる。そこで、Mg/Zn/F-BCP焼結体または固化体の作成法を研究した。700-1000℃の範囲、炭酸ガス下または大気中で焼結実験を行い、密度、相組成を評価した。
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