研究概要 |
1.抗Ep-CAMヒトIgGクラスモノクローナル抗体(MAb)の作製 Ep-CAMのcDNAを組み込んだ哺乳動物発現用ベクターpdKCR/MK-1と超音波造影剤(オプチゾン)を混合したものを,BALB/cマウスのfoot padと背部皮内に注射し,その場所に超音波を照射した.これを2週間おきに繰り返し,マウスより採血してELISAにより血中抗Ep-CAM抗体価を調べたが,ハイブリドーマ作製のために十分な抗体価の上昇は認められなかった。そこでリコンビナントEp-CAMをアジュヴァントと共にヒト抗体遺伝子導入マウス(KMマウス)に免疫し,その脾細胞とマウスミエローマ細胞P3-U1を融合させた。約3000個のハイブリドーマクローンを調べた結果,約40個のEp-CAMと反応するクローンを得た。それらの多くはIgMであったが,2つのIgGクローンが得られたので,それらをヌードマウス腹腔で増殖させ,腹水よりMAbを精製した。 2.MAb-音響感受性物質複合体の作製 音響感受性物質のポルフィリン誘導体DCPH-P-Na(I)をMAbに結合させる最適の条件を検討するため,水溶性カルボジイミドEDCとN-hydroxysulfosuccinimideを用い,抗CEAマウスMAbとDCPHの結合比を変えた複合物を作製した.これらの複合物のなかから結合比の高いものを選びin vitroで胃癌細胞と反応させ超音波を照射したところ,超音波照射単独に比べ抗腫瘍効果が有意に増強されることがわかった。
|