研究概要 |
1.抗Ep-CAMヒトIgGクラスモノクローナル抗体(MAb) 前年度に得られた約40個のEp-CAMと反応するクローンより2つのIgG4サブクラスを選び,それらをヌードマウス腹腔で増殖させ,腹水よりMAbを精製した。どちらのクローンもEp-CAM発現細胞と特異的に結合するが、結合後の細胞内へのインターナリゼーションは少ないことがわかった。IgGあるいはFabの代わりに単鎖抗体scFvの利用を考え、ハイブリドーマクローンより抗体H鎖とL鎖の可変部遺伝子をクローニングして塩基配列を決定し・組み換えscFv遺伝子を構築して大腸菌に発現させた。 2.音響化学物質DCPH-Pの抗腫瘍効果の解析 ポルフィリン誘導体であるDCPH-Pは、化学構造からは光感受性ではないことが予測されたが、吸光/励起光スペクトルの解析から光感受性がほとんどないことが裏付けられた。これをさらに確認するために、in vitroで癌細胞株にDCPH-P存在下に超音波またはハロゲンランプ光をあて細胞傷害活性を調べた結果、ハロゲン光では活性がないことがわかった。またDCPH-Pと超音波照射でのin vivoでの抗腫瘍効果を、マウス移植モデルを用いて調べた結果、0.6mg/g i. v.での投与量において有意に腫瘍増殖を抑制することがわかった。DCPH-Pの作用機序を明らかにするためにin vitroでの活性酸素誘導能やアポトーシス誘導能を調べたが、どちらも検出でず、別の機序であることが考えられた。
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