16年度においては、超音波モータの位置決め精度の向上を図るため、制御回路の改良を行った。超音波モータは、低速時のトルクが大きいためギアを介さずにダイレクトにアームを制御することが可能である。MRI内の空間は限られており、この空間を有効利用する点でもダイレクト駆動方式による制御性能の向上は重要な点であると考えられる。ここでは制御回路をCPLD(Complex Programmable Logic Device)で構成することにより、位相差制御の分解能の向上、信頼性の向上および小型化を実現させた。この制御回路を用いることにより、PID制御器においては±0.0045(deg.)、PID-NN制御器(ニューラルネットワーク併用型PID制御器)では±0.0011(deg.)の高い精度で位置決めを行うことができた。この結果より手術ロボット用のアクチュエータとして、超音波モータは十分な制御性能を得られることが確認された。 17年度においては、手術支援ロボットの試作を行った。本研究では、手術ロボットの対象をクローズド型MRIとした。全体として5軸による構成とした。各軸は、3軸をモータからのリンク方式によるアーム角度調整、1軸を回転方向、1軸をMRIのトンネル方向への移動とした。これによって手術アームは頭部(下部を省く)に対して、任意の角度からアームの位置と方向を設定することができる。また、アームをリンク方式によって駆動することにより、(1)超音波モータからの画像への影響の低減。(2)手術先端部の機構部品め低減。の2つを実現することができた。構成部品は、画像への影響をより少なくするために、非金属製のアクリルやセラミックによる構成とした。アームの位置を確認するエンコーダは、非金属で試作し、データを光ファイバーによって伝送する方式を検証中である。
|