研究はロボットのアクチュエータである超音波モータ(USM : UltraSonic Motor)の制御とMRIロボットの構成の2つに分けて行った。ロボットのアクチュエータは、非磁性体でかつ電磁ノイズを発生しないものを用いなければならない。ここではUSMを用いた。本研究ではこのモータを制御するにあたり、回路および制御手法を見直した。制御回路は複雑になる位差制御回路をCPLDで構成することにより、信頼性の向上と小型化を同時に実現できた。また、制御手法にニューラルネットワークを用いた知的制御手法により、±0.0036(deg.)によって制御することが可能になった。これによりアームをモータによるダイレクト駆動で動かしても、高精度な位置決めが実現できる。 手術ロボットの構成はMRIの形式がオープン型またはクローズド型によって異なってくる。ここでは、現在最も普及し、画像の解像度の高いクローズド型MRIを対象とした。ロボットはガントリ内の直径(30cm程度)に収まり、かつ画像に影響を与えないような構造にする必要がある。このため、単に工場にあるようなアーム型ロボットを小型するだけでは対応できない。ロボットの動作は、各アームをリンク棒を介して動かす手法を用いた。この手法により、USMまたはこのモータに電源を供給しているケーブルからのノイズによる画像への影響をきわめて少なくすることができた。実機のロボットにおいてアクチュエータはガントリ内から、75cm以上離れた場所に設置した。使用する材料はアクリル、強化プラスッチクス、セラッミクスなどの非金属系の材料を主に用いた。試作機は3軸のアームと全体を回転できる1軸のから構成される。このような構造にすることにより、より広範囲の位置からアームを設定できるようになった。
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