(1)骨格筋毛細血管密度を低下させる高食塩負荷ならびにカプトプリル投与の運動耐容能への影響を正常圧ラットで検討した。ラットを安静(S)群、高食塩負荷(HS)群、カプトプリル投与(Cap)群に分け4週後多段階トレッドミル運動負荷試験により運動耐容能を評価した。S群に比べHS群、Cap群で有意に運動耐容能は低下していた。(Clin Exp Pharmacol Physiol 2004;31:197-201に発表) (2)運動耐容能、骨格筋毛細血管密度に対する運動トレーニングとアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬各々単独ならびに併用した場合の効果について高血圧自然発症ラット(SHR)を用い検討した。7週齢のSHRを安静コントロール(C)群、運動トレーニング(EX)群、ACE阻害薬(perindopril)投与(Per)群、両者併用(EX+Per)群に分けた。15週齢時、多段階トレッドミル運動負荷試験により運動耐容能を評価した後、麻酔下にヒラメ筋を採取し組織学的検討を行った。運動耐容能はC群に比べEX群、EX+Per群でそれぞれ同程度に上昇し、Per群の運動耐容能は両者の中間程度に上昇していた。毛細血管密度はC群に比べPer群、EX群で有意に上昇しておりEX+Per群では更に上昇していた。筋繊維の内、タイプI筋繊維の割合はC群に比べEX群、Per群でいずれも差はなかったが、EX+Per群で有意に上昇していた。 以上のことより、1)安静かつ高食塩摂取は骨格筋毛細血管密度の減少を介し運動耐容能を低下させることが、2)組織親和性の高いperindoprilはおそらくキニン-一酸化窒素系を介し毛細血管密度を上昇させ運動耐容能を高める可能性が示された。
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