研究概要 |
3年間の研究を通じ歩行リハビリテーションを目的とした装着可能な外骨格型ロボット装具の開発を行ってきた.ロボットは患者の回復状況に応じて2通りに利用可能とした.すなわち,ひとつは受傷後早い段階に病院・リハビリテーション施設内などで開始されるリハビリテーションのためであり,患者はトレッドミル上でロボットを装着して歩行訓練を行い,関節可動域・筋力増加と平行して基礎的歩行能力の訓練を行う.次にこの段階に続き,歩行機能の再建を目指したより積極的な訓練を行う.すなわち,ロボットをトレッドミルから解放し,任意の場所で,より自由に歩行訓練の実施が可能なロボットシステムを構築する.後者の歩行装具研究に関しては,本年度Journal of Engineering in Medicine : Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers Part Hにアクセプトを得た. 本装具の新規性は歩行機能関連のニューロリハビリテーションにあり,本年度は足関節の伸張反射実験を通じ,歩行CPGの応答解析を中心に行った.具体的には,車椅子のフットレスト部を直動型アクチュエータにて長軸方向に動作させ、回転運動に変換させることで,足関節に伸張反射運動を与えるデバイスを開発し,下肢の運動機能に完全麻痺を持つ脊髄損傷者12名を対象に計測実験を行った.足関節運動中の麻痺筋の筋活動電位ならびに血流量を記録した結果,受動足関節運動により,リズミカルな筋活動ならびに下腿血流量増加が引き起こされることを見出した.この傾向は全被験者に共通して認められ,受動運動は低循環状態の継続による二次障害を防止する可能性を有することを示した.また,関節の抵抗トルクに関しても受動運動後に抵抗トルクが減少することを見出した.
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