研究課題/領域番号 |
16500341
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
リハビリテーション科学・福祉工学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐浦 隆一 神戸大学, 医学部, 助教授 (10252769)
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研究分担者 |
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (80217421)
杉元 雅晴 神戸大学, 医学部, 助教授 (20379457)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 褥創 / 血管新生 / 低出力間歇的超音波 / プロスタグランディンE_2 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / 鶏胎芽尿漿膜血管モデル / ドレッシング材 / 超音波透過率 |
研究概要 |
褥瘡に対する超音波療法の有効性を明らかにするためにヒト皮膚線維芽細胞の血管新生因子(PGE_2、bFGF、HGF、VEGF)産生に及ぼす超音波の影響を検討した。低出力超音波を細胞培養系に照射(7.5mW/m^2、20分)し経時的にmRNAを分離、逆転写後、PGE_2産生酵素であるCOX-1およびCOX-2、bFGF、HGF、VEGF mRNAの発現誘導をreal time PCR法を用いて半定量した。 構成的に発現しているCOX-1に比較して誘導型酵素であるCOX-2のmRNA発現は照射直後から有意に増加した。また、bFGF、HGF、VEGF mRNAの発現は、照射240分後には有意な発現を認めた。次に、COX-2選択的阻害剤NS-398の存在下で実験を行ったが、bFGF mRNAの発現はNS-398の存在下でも誘導された。すなわち、低出力超音波はヒト皮膚線維芽細胞の血管新生因子産生を直接刺激することにより血管新生を促進し、創傷治癒に有効である可能性が大きい。 次に、超音波による直接的な血管新生誘導を検討するために、鶏胎芽尿漿膜血管モデルについて検討したが、有効な刺激を与えることができず、今回は超音波照射が鶏胎芽尿漿膜血管新生を直接刺激するかどうかは、明らかにできなかった。 最後に、今後の臨床現場での褥創に対する超音波療法の基礎データとするために、創傷被覆材の超音波透過性について検討した。フィルムドレッシング材は高い超音波の透過性を示すことが明らかとなったが、ハイドロコロイドドレッシング材は材質により超音波透過率の差を認めた。すなわち、創傷に対する超音波照射では、創傷被覆材の超音波透過率を考慮しなければ、褥創表面に適度な超音波が到達せず、超音波による創傷治療効果の有無を検討することはできない。このことは、今後、超音波照射を褥創治療に臨床応用する場合においても、必ず解決しなければならない課題である。
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