昨年度に引き続き、高齢者(平均年齢67歳)における運動療法を3ヶ月間にわたり継続して行ったが、負荷運動強度は目標心拍数=安静時心拍数+{(220-年齢)-安静時心拍数}x0.3で設定し、自転車エルゴメーターによる運動を3回/週、20分行った。対象者は48名で、有意な運動療法効果として、運動持続可能時間の延長や、運動時心拍数の減少、自覚的運動強度の低下などが認められたが、前年の成績同様、筋力には有意な増大を認めなかった。これらの成績から、高齢者での運動療法継続において、必ずしも明らかな筋力増大を伴わなくても、運動能力を向上させることが可能であるとの結果となった。 一方で40歳代の対象者に運動療法を継続し、その疲労回復に有用な成分についての研究を開始した。疲労回復に関わる乳酸代謝を中心に、その除去や自覚的疲労度などが変化する可能性について、リコピン、βカロチンなどについて検討している。これまでに、トマトジュースに含まれる成分の一部が疲労回復に有効である可能性を明らかに出来たが、その詳細なメカニズムについて現在検討中である。さらに、高齢者では、感染症などの免疫機能にも異常や機能不全が発生しやすいが、これらの成分が免疫機構に影響する可能性があることから、アレルギー反応などの面から、検討をはじめている。 加齢に伴う機能障害として腎機能低下や透析における潜在的な重複機能不全の問題がある。このことについて透析患者を対象に、骨密度との関係を検討し始めており、運動機能との関連性を今後検討する予定にしている。
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