研究概要 |
今年度も昨年度同様、高齢者(平均年齢69歳)に低負荷強度による運動療法を3〜6ヶ月間にわたり継続して行い、その効果を確認した。負荷強度は目標心拍数=安静時心拍数+{(220-年齢)-安静時心拍数}x0.3〜0.35で設定し、168名に対して自転車エルゴメーターによる運動療法を3回/週各20分間実施した。結果として、同一負荷強度での運動持続可能時間の延長(持久力向上)や、運動時心拍数の減少、自覚的運動強度の低下などが認められたが、これまでの成績同様、有意な筋力の増大を認めなかった。これらの成績から、高齢者での低負荷強度運動療法の継続においては、明らかな筋力増大を伴わなくても、運動持久力を向上させることが可能であるとの結論に至った。(英文論文として投稿予定) 一方で40歳代の対象者に運動療法を継続し、その疲労回復に有用な成分についての研究を開始した。疲労回復に関係する乳酸代謝を中心に、その除去や自覚的疲労度などが変化する可能性について、カルテノイド(βカロチン、リコピン等)の効用にについて検討し、トマトジュースに含まれる成分の一部が疲労回復に有効である可能性を明らかにし、その成績を第13回International Union of Food Science & Technology国際会議(Nantes, France)で報告した。 さらに脳梗塞片麻痺患者における運動機能回復過程における脳内レベルでの機序解明に、光トポグラフィーによる血流測定での成績を検討した結果(脳梗塞患者5名)、麻痺の回復初期に運動神経領域での血流増加が関係している可能性が示唆され、この研究成績をNeuroscience 2006(Atlanta, USA)で報告した。この研究については、さらに症例数を増やして検討を進めている。 脳梗塞後の患者における高次脳機能障害者の復職についての研究も平行して進めており、復職に関連する要因の幾つかを明らかにして、その成績の一部を報告した。
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