研究課題/領域番号 |
16500356
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
正門 由久 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (10173733)
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研究分担者 |
木村 彰男 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70118941)
大田 哲生 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (20233132)
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キーワード | ヒト / 歩行 / H反射 / 筋電図 / Ia inhibition / Ib inhibition / 皮膚反射 |
研究概要 |
ヒトにおいて脊髄反射回路については、筋電図やH反射を用いて解析されている。そのなかでヒラメ筋H反射は、拮抗筋である前脛骨筋(TA)からはIa抑制、協働筋である内側腓腹筋(MG)からはIb抑制を受け、足部の皮膚神経からも抑制を受けると報告されている。しかしながら足底筋から下腿筋や大腿筋への投射回路の研究はひとではほとんど報告されていない。本年度は、安静時における足底神経から下腿筋への投射について検討した。対象は健康成人5名であった。つまり母指底屈筋である短母指屈筋(FHB)からヒラメ筋に対する短潜時の効果について、まず安静時のヒラメ筋H反射と足関節底屈時のヒラメ筋表面筋電図の平均加算を用いて検討した。条件刺激としてFHBからの求心性神経を足関節内果直下部で電気刺激した。その後前脛骨筋からのIa抑制、内側腓腹筋からのIb抑制、足部の皮膚神経との収束を検討するために、それらも条件刺激として用いた。その結果、母指底屈筋である短母指屈筋(FHB)からヒラメ筋に対する短潜時の効果は、H反射では、12ms付近を中心とした抑制であった。表面筋電図を用いた平均加算によっての解析では、母指底屈筋である短母指屈筋(FHB)からヒラメ筋に対する短潜時の効果は、刺激後50ms付近に抑制が見られた。その抑制に対して、H反射を用いた実験から、その抑制は、Ia抑制および足部皮膚からの抑制とは収束せず、Ib抑制との収束が見られた。表面筋電図を用いた平均加算によっての解析でも、Ia抑制および足部皮膚からの抑制は収束せず、Ib抑制との収束が見られた。これらの研究結果より、母指底屈筋である短母指屈筋(FHB)からヒラメ筋に対する短潜時の抑制は、その一部分にIb inhibitory pathwayを含んでいるものと考えられた。来年度は歩行中に、本回路がどのように変化していくのかを検討したい。
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