研究概要 |
(1)脳卒中モデルラットを作成し、麻痺の回復を司る機能再構築部位の遺伝子の発現の違いを評価し、機能回復のメカニズムを検討した。 (1)については、GeneChipを用いて神経組織のRNA expression profilingをhierarchical clusteringした。コントロール群では遺伝子発現の増加をみないが、挫傷を起こしたラットにおいて、傷害側(右)および非傷害側(左)の両方で発現の増加をみた群に、グリシン受容体、グルタミン酸受容体、fibroblast growth factor receptor 4,insulin-like growth factor 1、カルシウムチャンネル遺伝子、カスペースであった。グルタミン酸およびグリシン受容体の発現が充進していることから、この両者を含むNMDRに着目した。NMDRの生理的抑制物質であるキヌレニン酸を髄液投与したところ、コントロールと比較して有意に運動機能早期回復を果たした。しかし、第10病日には回復が追いつかれており、この点更なる検討が必要である。 (2)麻痺から回復した下肢の筋評価も行い、中枢での変化が末梢に与える影響について考察した。 コントロール群(CON),右感覚運動野損傷群(RB),右感覚運動野損傷+右坐骨神経切除群(RBD)の3群に分けて検討した。各群の損傷作成後21日目の左下肢の筋評価を施行した。コントロールに比べSoleusのみタイプ1の断面積の増加を伴った質重量の増加が見られた。麻痺回復にかかわる脳機能再構築部位の影響が考えられた。
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