研究課題/領域番号 |
16500367
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
種村 純 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90289207)
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研究分担者 |
椿原 彰夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10138117)
村井 俊哉 京都大学, 大学院・医学研究科, 講師 (30335286)
種村 留美 京都大学, 医学部, 助教授 (00324690)
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キーワード | 脳・神経 / リハビリテーション / 頭部外傷 / 認知科学 / 遂行機能障害 |
研究概要 |
遂行機能障害者に対するリハビリテーションおよび社会的支援の成績について検討した。認知リハ前後の評価成績を見ると、改善を示した機能と示さなかった機能に分かれた。改善した機能は逆向記憶、見当識、人物や場所の誤認、自発性であった。一方改善を示さなかった機能は前向健忘、記憶錯誤、行動異常、遂行機能であった。また、認知リハ訓練の初回評価毎再評価後では訓練課題の適用頻度が相違し、当初は機能障害に対応した課題が選ばれ、その後はより複雑で、生活の適応にかかわる課題が選ばれていた。遂行機能障害者の認知リハ成績と社会的予後について追跡調査を実施した。予後についてはまだ確定していない段階で、在宅者が多く、また医学的管理が必要であった。問題行動や家庭内の人間関係が不良な場合があった。就労の希望者は多く、復職の最大要因は雇用主の受け入れで身体機能よりも認知機能の障害が大きく関連していた。就労しても半数に執務・学業上の援助が必要であった。賃金を得ている者はわずかであった。 前頭葉の関わる行動変化についての数量的評価質問紙Frontal Systems Behavior Scale(FrSBe)の和訳・標準化を行い、行動評価と神経心理課題(情動認知課題・ギャンブル課題・遂行機能課題など)との関連を検討、さらには損傷部位と症状との関連についての研究を行った。前頭葉特に眼窩面損傷例において、情動認知全般の障害を認めることを示し、日常生活においても情動認知障害に基づくと考えられる脱抑制・アパシーといった行動障害が認められることを示した。損傷部位については3テスラMRIを用い、従来よりも正確な損傷部位の同定を行った。 脳損傷による社会的行動障害の治療介入方法については個人を対象とした技法として認知行動療法、集団を対象とした技法として生活技能訓練を適用し、損傷した能力の再獲得を目指した加療を行ってきた。
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