研究課題/領域番号 |
16500370
|
研究機関 | 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所 |
研究代表者 |
中澤 公孝 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 運動機能系障害研究部, 室長 (90360677)
|
研究分担者 |
阿部 匡樹 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, リサーチレジデント (40392196)
赤居 正美 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所, 部長 (80143452)
|
キーワード | 姿勢制御 / 歩行 / 静止立位 / 身体重心 / 加速度 / 加齢 |
研究概要 |
高齢社会を迎えた日本において、歩行安定性の適切な評価、特に加齢に伴う変化の抽出は、転倒予防に関連する重要な研究課題の一つである。これまで、歩行安定性の評価においては、歩行周期など下肢動作の安定性に関する指標が多く用いられてきた。しかしながら、全身の安定性指標となる身体重心動揺に関する検討は十分なされておらず、この動揺特性が加齢によりどのように変化するのかはほとんど明らかにされていない。また、この歩行時の重心動揺特性が、一般にバランス維持能の指標として用いられている静止立位時の動揺特性とどの程度関連しているのかも明らかにされていない。本研究では、床反力計付きトレッドミルを用いて歩行時の身体重心加速度を算出し、身体重心動揺における加齢の影響を明らかにすることを一つめの目的とした。また、歩行時および静止立位時における身体重心加速度動揺の関連性を明らかにすることを2つめの目的とした。 21名の健常高齢被検者(60-80才)および22名の健常若年被検者(20-34才)が実験に参加した。静止立位試技において、被検者は床反力計の上で90秒間の開眼静止立位を5回行った。歩行試技においては、床反力計付きトレッドミル上で、各自の至適速度、至適歩調による歩行を10分間行った。各試技中に記録された床反力は水平面上の身体重心加速度に変換され、その動揺特性に関して両被検者群間での比較分析が行われた。 その結果、歩行速度の差異を考慮して規格化された歩行時の身体重心加速度動揺量は、高齢被検者群において有意に大きかった。また、この動揺量と静止立位時の身体重心加速度動揺量の間には、有意な正の相関が認められた。これらの結果は、歩行時の身体重心加速度動揺量が加齢とともに増大すること、またこの増大が静止立位時の身体重心加速度動揺量の増大と関連していることを示唆した。
|