健常者を対象として、覚醒刺激に対する皮膚電位反応のhabituationの過程を分析した。20〜40秒間隔の覚醒刺激(100msのトーンバースト)に対して随意反応動作を行わない場合は、刺激を加える呼吸相にかかわらず速やかなhabituationが見られた。これに対し、随意反応動作を行った場合は、皮膚電位反応の振幅低下は緩やかであった。皮膚電位反応にvolitional motor commandが寄与している可能性が考えられ、筋放電開始時間(EMG-RT)と皮膚電位反応の開始およびnegative peak、positive peakの潜時との関係を検討した。皮膚電位反応の開始はEMG-RTにかかわらずほぼ一定であったが、negative peak潜時はEMG-RTとともに変動する傾向であった。また、positive peak潜時とEMG-RTについても同様の正の相関が示唆された。筋放電の開始はnegative〜positive peakに関与するが、皮膚電位反応の開始には関与しないことが示唆された。また、動作イメージを行った場合、音で誘発される交感神経皮膚反応と同様のhabituationが起きた後、negative peakのみの皮膚電位反応が出現する傾向が見られた。皮膚電位反応の初期に活動する汗腺は、閾値が低く動作の準備や企図の段階で発汗すると考えられるが、汗腺のビデオ画像については分析中である。意思表示システムのスイッチという観点からは、negative peakが注目される。瞳孔散大反応は、動作の実行・動作イメージにより皮膚電位反応に一致して生起する傾向であった。瞳孔径と皮膚電位活動との不一致はhabituationの過程や自発性変動にみられ、副交感神経系の寄与が考えられた。
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