研究課題/領域番号 |
16500374
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 昭裕 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (10251076)
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研究分担者 |
井村 仁 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (30203334)
多田 聡 明治大学, 法学部, 専任講師 (10276008)
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キーワード | キャンプ / 非行少年 / 不登校 / 関係性 / 風景構成法 / アウトドア体験療法 |
研究概要 |
本年度は、「悩みのある青少年に対する自然体験プログラムの心理臨床学的効果」を明らかにする一環としてキャンプのプログラムに参加する少年達の「関係性」に及ぼす影響について検討した。キャンプ・プログラムは、自然環境における生活体験や冒険的な体験活動が特色であり、メインキャンプ(19日)、ポストキャンプI(4日)、ポストキャンプII(3日)から構成されていた。本研究における資料は、少年達への半構造化面接法、観察法、描画法から収集され、個々の事例について関係性という視点から考察された。その結果、キャンプに参加した少年達の事例の中には、「自分と他者との関係」、あるいは「自分の心と身体の関係」において問題があると思われる事例があった。まず、自分と他者との関係に問題が生じている事例では、思春期の自立過程において生じてきた問題として捉えられ、その状態像として対人的な不安、緊張などが顕著であった。また、自分の心と身体の関係に問題があると思われた事例では、虐待をうけた経験があり、基本的信頼感(basic trust)の根づきの弱さと自我の脆弱性がその特徴として明らかにされ、解離や不適切な感情のコントロールがその状態像として顕著であった。 キャンプの経過やメインキャンプ後の調査から、前者では、キャンプおける同世代の仲間集団との関わりから関係構築がなされ対人的な不安、緊張の軽減が認められた。さらにこの事例では、関係性を土台として意欲的な行動が観察され社会性が改善された。後者では、キャンプ・カウンセラーやスタッフの愛着形成的関わりから深い感情の交流が有効的であった。また、冒険的なプログラムでは、克服的な体験と活動のふりかえり(内省)によって、適切な感情や気持ちの振り返りがなされ精神的安定が認められた。描画法である風景構成法においても、描画の質的な変容が認められ、個々の事例における関係性の改善が明らかにされた。
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