研究概要 |
本研究は,就学前教育における体育的活動と小学校体育との接続を企図した教育課程の構想および実践研究システムの構築に向けた基礎的作業を試みようとするものである. 平成18年度は,幼児および小学校低学年児童の「こころ」と「からだ」の発達状況の内部構造,生活実態(遊びを含む)相互の分析を含めたより詳細な分析を行い,就学前段階,小学校低学年段階のそれぞれにおける実践課題についての考察を行った.そこでは,「三間(時間,空間,仲間)の喪失」「ス漬(スクリーン,スクール,スポーツ)の生活」といった生活様式が広がる中での「遊びの変質」が,子どものからだ,運動能力の成長・発達の影響を及ぼしていることが推察された.また,商業ベースにのった「おけいこごと」への参加の有無が,「こころ」と「からだ」の発達状況に影響を及ぼしていることが,就学前段階と小学校低学年段階に共通して示唆された. さらに,参加観察をともなう継続的なカンファレンスを実施する中で,就学前教育での遊び体験や小学校低学年体育の意味や価値を相互交流しながら再確認することができた.しかし,幼稚園・保育所の保育者と小学校教諭との間では,カリキュラム構成や教育・保育内容の捉え方に差異が認められることが示唆された。くわえて、幼・保,小学校,研究機関が同僚性を構築しながら一体となって機能する新しい実践研究システムを構築していくことの意義を強調した.
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