研究課題/領域番号 |
16500402
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 祐造 愛知学院大学, 心身科学部・健康科学科, 教授 (80022870)
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研究分担者 |
押田 芳治 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (10169295)
大澤 功 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教授 (10223786)
長崎 大 愛知学院大学, 心身科学部・健康科学科, 講師 (30387568)
宇野 智子 愛知学院大学, 教養部, 講師 (80387571)
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キーワード | 生活習慣病 / 高齢者 / 糖尿病患者 / インスリン抵抗性 / 身体トレーニング / 他動的運動機器 / 正常血糖クランプ法 / ウェスタンブロット法 |
研究概要 |
高齢者・生活習慣病患者に認められるインスリン抵抗性改善に関して、高齢者および糖尿病患者に身体トレーニングを実施し、その効果を検証した。また、動物実験的にインスリン抵抗性改善のメカニズムをウェスタンブロット法等を用いて分子生物学的に解析した。 1.臨床的検討 (1)中高年健常者(211名)を対象にレジスタンス(チューブ)運動と有酸素運動(散歩)を3ヶ月間実施した。その結果、HOMA-Rには変化を認めなかったが、正常血糖クランプ法によるGIR(インスリン感受性)は有意に改善し、血清中性脂肪の低下、HDL-コレステロールの上昇など、脂質代謝も改善した。また、長座位体前屈、最大一歩幅、全身反応時間およびバランス保持時間など高齢者生活活動能力が有意に改善した。 (2)高齢糖尿病患者(9名)に他動的運動機器(ジョーバ【○!R】)を用いた身体トレーニングを3ヶ月間実施した。GIRは他動運動により急性的に有意に増加した。また、身体トレーニングの実施によりGIRは3ヶ月後には有意に増加したが、中止によりトレーニング前値に回復した。すなわち、他動的運動機器を用いた運動が、高齢糖尿病患者のインスリン抵抗性を改善させうる可能性が示唆された。 2.動物実験的検討 安静群におけるインスリン刺激時のインスリン受容体(IR)チロシンリン酸化は加齢により低下したが、5日間の流水式プールを用いた水泳運動トレーニングにより改善した。一方、IRS-1とPIキナーゼ結合、Cb1とPI3キナーゼ結合の蛋白量は加齢および運動による影響がなかった。以上の事実は5日間という短期間でもトレーニングを行えば、インスリン抵抗性改善が期待しうることを示唆している。 以上の臨床的および動物実験的検討は加齢および生活習慣病由来のインスリン抵抗性改善に運動トレーニングが有用であることを示唆しており、今後、臨床的・動物実験的に、さらに検討を実施する予定である。
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