17年度から研究代表者が大学院人間・環境学研究科から高等教育研究開発推進センターに移籍したため、ジャンプ動作のシミュレーション研究から、ジャンプ動作のバイオメカニクス研究をスポーツ現場に応用する教育的バイオメカニクス研究に研究内容をシフトさせた。 18年度は、テニス経験者9名を被験者とし、横方向へのステップを伴う左右選択リーチング動作を、予備ホップを行うHop条件及び予備ホップを行わないNoHop条件で行い、予備ホップの効果について、バイオメカニグス研究を行った。 Hop条件において、NoHop条件よりも有意にトータルリーチタイム(刺激提示からターゲットに到達するまでの時間)が短縮した。その内訳は、レスポンスタイム(刺激提示から移動開始までの時間)、リーチタイム(ステップ脚が着地してからターゲットに到達するまでの時間)の短縮ではなく、ステップタイム(移動開始からステップ脚が着地するまでの時間)の有意な短縮であった。また移動開始後100msの身体重心の移動方向への速度は、Hop条件にがNoHop条件に比較して約2倍高い値を示した。 Hop条件試行のうち、NoHop条件での移動開始時刻より遅い時刻にホップの着地がなされた試行は着地前に移動方向の判断を行い、着地と同時に移動を開始していることが着地時の力積及び着地前の内側腓腹筋の予備活動の分析により確認された。また、NoHop条件での移動開始時刻より遅い時刻にホップの着地がなされたHop条件の試行ではエラー試行がほとんど見られなかったのに対して、早い時刻に着地した試行ではエラー数が増大した。したがって空中で移動方向を判断し、着地と同時に移動を開始できる最も早いタイミングで予備ホップを行うと、最も効果が得られると考えられる。
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