[目的]今後迎える超高齢化社会において、高齢者の寝たきりを防止することは大きな課題である。そのためには体タンパク質合成を活性化し、筋・骨減弱を防ぐことが重要であると思われる。そこでグルココルチコイドを投与して筋・骨減弱化させたラットを高齢化モデルとして用い、クライミング運動と高タンパク質間食が筋・骨滅弱化を抑制できるか否かについて検討した。 [方法]5週齢Wistar系雄ラットを予備飼育後、クライミング運動を5週間実施さえ適応させた。適応後、(1)普通タンパク質(N)群、(2)低タンパク質(L)群、(3)普通タンパク質+間食(NS)群、(4)低タンパク質+間食(LS)群、(5)普通タンパク質+運動(NE)群、(6)低タンパク質+運動(LE)群、(7)普通タンパク質+間食+運動(NSE)群、(8)低タンパク質+間食+運動(LSE)群の8群に分類し、8週間飼育した。全群のラットにグルココルチコイドであるプレドニゾロンを皮下投与し、高齢化モデルとした。食餌を1日2食制とした(8:30-9:30am/pm)。体タンパク質合成を高めるために間食(12:30-13:30)には1日のタンパク質必要量の70%を与えるパルスフィーディング法を用いた。飼育終了後に屠殺し、組織を採取した。 [結果]ひらめ筋、前頸骨筋重量、前頸骨および大腿骨の破断強度はクライミング運動により有意に増加した。また、高タンパク質間食は運動の効果を有意に高めたが、食餌タンパク質含量(普通あるいは低)による差はみられなかった。 [今後の方針]遺伝子レベルで体タンパク質合成のメカニズムを明らかにすると共に、さらに効果的な食餌と運動の方法を検討する。
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