[目的]加齢に伴う筋肉・骨減弱化を防ぐには十分な蛋白質を摂取することに加え、蛋白質合成を刺激するレジスタンス運動の実施が必要であると考えられる。本研究では、グルココルチコイドを投与し筋肉・骨を減弱化させた高齢化モデルラットを用い、自発的クライミング運動を日常化させながら、1日2回の主たる食餌に加えて1日の総摂取蛋白質量の70%を含む高タンパク質間食(カゼイン間食または分岐鎖アミノ酸BCAA間食)を摂取させることで、筋肉・骨の減弱化を抑制できるか否かを検討した。 [方法]明期8〜20時、室温25℃、湿度50〜60%の環境下で、5週齢のWistar系雄ラット55匹を4週間のクライミング運動適応後、Ct群:成長期モデル+安静、GS群:高齢化モデル+安静、GSC群:高齢化モデル+安静+カゼイン間食、GSB群:高齢化モデル+安静+BCAA間食、GE群:高齢化モデル+運動、GEC群:高齢化モデル+運動+カゼイン間食、GEB群:高齢化モデル+運動+BCAA間食に分け8週間飼育した。1日2食制下で、間食摂取群には12:30〜13:30に高蛋白質間食を摂取させ、運動群には暗期にクライミング運動を実施させた。 [結果]ヒラメ筋重量はクライミング運動の実施により有意に大きくなった。安静群では、ヒラメ筋重量がGS群と比較してGSB群で有意に大きくなったことから、分岐鎖アミノ酸間食による筋減弱化抑制が示された。脛骨の重量、最大荷重、カルシウム含量はクライミング運動の実施により有意に大きくなった。しかしいずれの高蛋白質間食も有意な効果は認められなかった。以上の結果から、筋肉・骨減弱化抑制にはクライミング運動の実施が最も効果的であることが示された。また、分岐鎖アミノ酸間食は筋減弱化抑制効果を示したが、骨減弱化抑制効果を示さなかった。今後は他の疾患モデルにおいても検討する必要がある。
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