本年度は、動体視力および頭部-眼球運動解析のための生理学実験システムの構築をおこない、実験システムの動作確認を兼ねて実験条件を決定するため予備実験をおこなった。 実験システムの構築状況の詳細は以下のとおりである。 視覚刺激装置:異なるソフトを用いて2種類の視覚刺激プログラムを作成した。一つはC言語を用いたプログラムで、1〜9の数字が設定した速度でランダムに表示される。もう一つはMatLab Psychophysics Tool Boxを用いたプログラムで、右あるいは左が開いたランドルト環が設定した速度、位置、提示時間で表示される。このような運動物体を22インチCRTモニター上に提示し、被験者に回答させる。 頭部運動測定装置:ポテンシオメーターを用いた頭部回転運動測定装置を自作した。 眼球運動測定装置:比較検討した結果、頭部運動中の眼球運動測定に適したDC-EOGを採用した。 データ収集・解析装置:データ収集・解析ソフトであるPowerLabを用いて、上記の視覚刺激信号、頭部運動信号、眼球運動信号を同時に収集するシステムを構築した。 解析システム:MatLabを用いて解析プログラムを作成した。 予備実験の進行状況は以下のとおりである。 これまでのところ、4人の被験者を対象に、上記の実験システムを用いて実験をおこなった。提示した視覚刺激や測定データの内容については問題がないことを確認した。現在、回答の正答/誤答と頭部-眼球運動の関係について解析をおこなっている。運動物体とgaze(頭部+眼球)の位置が離れていても正答が多い、被験者が自信ないと答えた場合も正答が多いなど、予想外の結果も得られており、今後の研究の発展が期待できる。
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