研究概要 |
本年度は、機能的MRI内実施課題の詳細の決定とそれに基づいた脳機能画像の撮像をおこなった。 被検者は右利きの健常者10名で、書面によるインフォームドコンセントを得ている。各被験者が、自然血流下と虚血下で、最大随意等尺性筋力の20%,40%,60%,80%の筋力で等尺性ハンドグリップ運動を行っている際の脳活動を機能的MRIによって測定し、さらに、左右の前腕屈筋群の筋電図、及び被験者の発揮筋力を同時に測定した。また、被験者の力の知覚の指標として、各運動直後にCR-10scaleによって発揮した筋力の評価をおこなった。皮質の活動性については個人レベルにおいて解析をおこない、1X1X1mmで撮像した個人のT1画像にactivation画像を重ね合わせ、活動領域がMIにあることを確認したのち、% signal changeでその活動性を評価した。さらに、虚血の末梢神経の伝導に対する影響を調べるため、自然血流下と虚血下での正中神経刺激に対する体性感覚誘発電位(SEP)の比較をおこなった。 筋電図のレベルにおいては、上腕基部への局所的な圧迫による虚血は運動中の筋活動に変化は見られなかった。被験者の力の知覚は被験者の発揮筋力と比例関係にあり、虚血下では自然血流下に比べ、いずれの発揮筋力レベルでも有意に増加していた(p<0.01)。MIの活動も、虚血の有無にかかわらず、筋力に比例して増加し、被験者の力の知覚にも比例していた。しかし、虚血下のMIの活動は、被験者の力の知覚と同様に、自然血流下に比べ全ての発揮筋力レベルで有意に増加した(p<0.01)。一方、正中神経刺激によるNAPとSEPのN20の潜時及び最大振幅を自然血流下と虚血下で比較したが変化はみられなかった。
|