研究概要 |
平成18年度は,イン・ハウス(自宅)でトレーニングするための方法として,ホームセンターなどで手軽に購入できる器具を用いた筋力トレーニング時の自覚的運動強度スケールの有用性を検証した. 日本語表記による自覚的運動強度スケールは,活動筋が「少し効いてきた」,「効いてきた」,「かなり効いてきた」,「もう限界」と感じる強度を口頭で答えさせた.健康な若年男性12名を対象に,3kgのダンベルを用いたアームカール(肘関節屈曲)運動を2秒に一回のペースで疲労困億になるまで行わせた.トレーニング中は胸部誘導による心拍数測定と被検筋(上腕二頭筋)から筋電図を導出し,各スケールにおける前後3回の筋電図積分値(iEMG)の平均を求めた.また,各スケールにおけるBorgの自覚的運動強度(Borg-RPE)を答えさせた. その結果,安静時のHRは61.5±7.3bpmで各スケールでのHRは「少し効いてきた」は85.7±12.3bpm,「効いてきた」は91.5±12.4bpm,「かなり効いてきた」は94.9±11.1bpm,「もう限界」は94.9±11.1bpmと約20〜30bpmの上昇であった.「もう限界」の回数を100%とすると,「少し効いてきた」は38.6±10.1%,「効いてきた」は56.2±11.7%,「かなり効いてきた」は77.5±9.9%の割合となった.また,筋電図解析の結果,iEMGは「もう限界」を100%として,「少し効いてきた」は68.1±14.2%,「効いてきた」は75.1±12.8%,「かなり効いてきた」は88.1±6.0%の強度となった.「もう限界」におけるBorg-RPEは18.9±0.7であった. 以上のことから,本研究の日本語表記による自覚的運動強度スケールは生理学的運動強度やBorg-RPEと同様に変化していくことが明らかとなった.次年度はスケールの信頼性や他の運動種目への影響については検討したい.
|