metabolic syndromeは、冠疾患や脳血栓の成因を考える上で重要な病態である。その診断基準の中でも上半身(内臓過剰蓄積型)肥満が最も重要である。しかしわれわれは、肥満を呈さないが(BMI<25)内臓脂肪断面積が100cm^2を越えるものについて検討を加え、この群が肥満を伴ったmetabolic syndromeと同様の代謝異常を有することを報告してきた[これらの群をmetabolically obese with normal weight (MONW)群と呼ぶ]。今回われわれは、三重県南部の御浜町で行った糖尿病検診受診者の中から抽出したMONWに対し3年間生活習慣に介入することにより、どのように危険因子が変化するか、それは血中パラメーター(酸化ストレス状態、アディポサイトカインなど)にも変化をもたらすか、心血管イベントや糖尿病の発症率に影響が出るか、などについて介入に参加しなかったものを対照に研究を進めていく予定である。 今まで一般住民に対し行った糖尿病検診の受診者752名の中から、体重は正常(BMI<25)であるが、臍周囲径が男性≧85cm、女性≧90cmのものをmetabolically obese normal weight (MONW)として抽出した。女性には該当者がなかったが、男性には25名存在した。それらの者に対し生活習慣改善プログラムを実施するために、「御浜町メタボリック教室」と題し約3時間の講演会と相談会を実施した。参加者は郵便や電話で勧誘したが7名と少数であったのでもう一度日を変え実施予定である。また体重が肥満を呈し(BMI≧25)臍周囲径≧85cmのもの、および体重正常(BMI<25)で臍周囲径<85cmのものを無作為に抽出し、上記のグループと同時に検討すべく、現在フォローアップ体制を固めている所である。
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