糖尿病に対する医療費は急増しており、大きな医療経済上の問題となっている。糖尿病の予防は地域社会環境や生活環境に強く影響されるとされているところから、糖尿病予備軍といわれる耐糖能障害や肥満者などのハイリスク群を対象にした2型糖尿病の一次予防に関する地域基盤型戦略が急務となってきている。そこで、健康教育・啓発活動を含めたより長期的な支援のための新しい方法論を開発し、科学的な実証データを得ることを目的として初年度の事業に着手した。まず、糖尿病ハイリスク群の判定と事後指導に必要なマニュアルを作成するため、資料の収集、糖尿病判定区分の分析、事後指導の手順などについて詳細に検討を行った。また、事後指導システムの強化と併行して、生活習慣を変容させ、健康的な日常生活を維持させるための受け皿として、集団健康教室ならびに個別健康教育の実施機関、保健事業に係わるマンパワーの状況、健康運動実践指導者数などの調査を行った。健康度評価および生活習慣の変化についてはアンケート方式によるブレスローヘルススコアを用いて評価することとし、学習援助型を指向した集団糖尿病予防教室ならびに修正された生活習慣を長期間維持するための集団健康維持教室のモデル開発を行った。さらにS社事業所において糖尿病予備軍および肥満者に対して、検診事後指導の強化、健康教育ならびに啓蒙活動の実施、健康運動教室の運用などについて試験的探索事業を行った。
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